幸町橋修繕工事 完成
場所:鳥取県鳥取市
受注者 | 株式会社 興洋工務店 | ||||||||
施 工 | 株式会社大昌エンジニアリング | ||||||||
株式会社徳永組 | |||||||||
橋梁塗装工 | |||||||||
ひびわれ補修工、断面修復工、表面保護・含侵工 | |||||||||
剥落防止工、舗装ひびわれ補修工、仮設足場工 | |||||||||
本橋は、昭和60年(1985年)に架橋されたプレテンション方式PC単純T桁橋、 同年には「わかとり国体」(第40回国民体育大会)が開催された。 供用後34年経過しており、経年劣化等により各所に損傷が見られるため、今回の補修工事を行う事となった。 |
代表的損傷 |
➀ | 下部工コンクリート部分にひびわれ(亀甲状)があり、アルカリ骨材反応によるものと思われる。(架設当時の骨材供給事情による) |
【ひびわれ注入工・ひびわれ充填工・表面含浸工による補修】 |
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② | プレテンションT型桁の間詰床版下部に、うきや剥離がみられ、繰返し荷重及び、その振動等により損傷したものと思われる。 |
【断面修復工・剥落防止工による補修】 |
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③ | 鋼板巻き立て補修部分の塗装が劣化しており、補強鋼板に一部錆が出ている。 |
【塗替え塗装工による補修】 |
着工前 | 完 成 |
足場設置状況 | |
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桁下 枠組足場・単管足場 |
飛散防止シート |
ひびわれ注入工 |
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コンクリートのひびわれ部分から侵入する塩化物イオン、二酸化炭素、水等は内部鉄筋を腐食させる要因となる。
そのコンクリートの部位、役割にもよるが、健全とされる強度の確保が保てなくなり、同様にコンクリートの中性化(架設時は弱アルカリ性)の要因となる。 コンクリートの中性化は圧縮強度の低下が著しく、鉄筋同様に健全な強度の確保ができなくなる。 コンクリート内部に亜硝酸リチウム水溶液を注入・浸透させ、中性化部分の再アルカリ化を図り、その後エポキシ樹脂または超微粒子セメント系注入材を充填し、外部からの有害物質の侵入を防ぐ。 |
1.亜硝酸リチウム水溶液注入 | 2.超微粒子セメント系注入材 |
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3.エポキシ樹脂注入材 |
ひびわれ充填工 | |
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1.ひびわれ部Uカット | 2.シーリング材充填 |
3.充填完了 |
表面含浸工 |
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コンクリート表面よりコンクリート中性化の要因となる塩化物イオン・二酸化炭素等の侵入が考えられる。外部からの中性化進行物質の侵入からコンクリートを守るために、それらを遮断する。 無機系封孔剤パーミエイトを塗布することによって、コンクリート表面の微細な孔を塞ぎ、水や炭酸ガスといったコンクリート劣化の原因となる物質の侵入を阻止する。 あらゆる微細孔に隈なく浸透し、硬化ているため、まるで土中に根を張る木々のように、強固な付着力を発揮する。 |
パーミエイト塗布作業 | |
着工前 |
塗布完了 |
断面修復工 |
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鉄筋コンクリートのうきや剥離の主な要因は、コンクリート表面近くに配置された鉄筋が腐食膨張し内部圧力の対応限界を超える事で発生する。 コンクリートの脆弱部分を取り除き、鉄筋を露出させ、防錆処理により不導体皮膜を復活させる。その後、鉄筋との純被りを確保できる厚さで、損傷部をポリマーセメントモルタルで充填する。 |
1.ハツリ、鉄筋防錆 | 2.修復完了(床板) |
橋脚修復 |
横桁修復 |
路面修復 |
地覆修復 |
剥落防止工 |
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供用中の既存橋梁は、車の往来等により絶えず応力(繰り返し荷重)を受けている。また地殻の変異(地震)等の影響も少なからず受ける。 橋梁全体で応力を分散させる構造にはなっているが、一部の弱い部分(間詰床板等)に集中する可能性もある。 本橋梁は現道、付近の施設利用者が駐車する駐車場上に架橋さており、損傷によるコンクリートの剥落は避けなければならない。 ビニール製のメッシュシートをコンクリートに張り付け、コンクリートの剥落を防止し、剥落防止材自体は紫外線に弱く劣化するため、塗装によりメッシュシートを保護する。 |
1.着工前 | 2.素地調整、テープ養生 |
3.プライマー塗布 |
4.シート接着剤塗布 |
5.剥落防止シート張り付け |
6.シート押さえ付け |
7.張り付け完了 |
8.上塗り塗布 |
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上塗り塗布(横桁) |
塗り替え塗装工 |
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本橋の橋脚は、コンクリート構造物の劣化による強度低下を、外的拘束力により補強(鋼板補強)している。 鋼板塗装の劣化により錆が露出している部分があるため、鋼材に影響を及ぼす前に劣化部分の塗膜を剥ぎ取り、再塗装を行う。 巻き立て鋼板の旧塗膜には、鉛、六価クロム、PCB等の有害物質が含有されている可能性があリ、それらは人体に悪影響を及ぼす。そのため、暴露の可能性の低いグローブバッグによるサンプル採取の後、検体の分析を行う。 素地調整は、3種ケレン(赤錆、劣化塗膜を除去し、活膜は残す)作業とし、鋼材素地を露出させた箇所には、すみやかに錆止め塗料の塗布を行う。 |
既設塗膜採取 |
採取サンプル |
1.素地調整 |
2.下塗り塗布(1回目) |
3.下塗り塗布(2回目) |
4.中塗り |
5.上塗り塗布 |
塗替え塗装完了 |
舗装ひびわれ補修工 | ||||||||
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歩道舗装部にひびわれがあり、床版および下部工へ雨水や塩分(塩カル材)が流れ込み部材へ損傷を与える要因となっていた。 舗装のひび割れに追従性のある注入剤を充填することで路面からの水の侵入を防ぐ。 |
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1.着工前 | 2.補修材充填 |
3.珪砂散布 |
4.補修完了 |
降雨時に上部や側面から回り込む水は、橋脚コンクリートや鋼板塗装の劣化につながる。その伝い水を遮断するため水切りを設置する。 |
水切り設置 | 設置完了 |