コンクリート表面被覆工
- 設計の考え方
① 「報告書」
ⅰ、無機系被覆工法と比較し形成される被膜が緻密であり性能が高い。
ⅱ、安い
そのために、「ウレタン系表面被覆工法がよい」と結論している。
②6工程
③ 「無機系は、ひび割れ追従性が劣ることから、劣化因子の滲入が容易である。」と設計社は分析していた。
2.表面保護工の目的は
① コンクリートに劣化因子を透過させない。促進対候試験を3時間行った後白亜化がほとんどなく、
コンクリートとの付着力がある。
国土交通省(コンクリート耐久性技術の開発=平成元年5月)
②被覆材自身が劣化しにくい
ⅰ、紫外線劣化を生み出さない
ⅱ、温度変化による膨張収縮に耐えられる
ⅲ、一定の硬度 である。
このウレタン系被覆材は、当該現場にある水管橋に塗布されている。
塗装歴盤によると2002年12月施工(施工後7年)であるが、
白亜化が進み、錆が浮き出している。
4、
- ウレタンに限らず有機系塗膜材は溶剤に揮発性物質(シンナー、トルエン)を使用する。
- そのために、塗膜中に微細孔を形成するので、それを封孔するために、多重塗りを必要とし、工程を多くする。
- このために、塗装間隔を必要とし、工程に影響を与える。
- 無機系に比べて伸び率が大きいのが特色であるが、ポリウレタンの特質である加水分解及び紫外線劣化 は避けられない。
※「塗膜劣化評価の手法の検討」ピンホールがあると急激に劣化する。そのために長所である柔軟性も経年劣化する。
- 樹脂自身に硬度がなく、地覆部では傷つき易い。
- もっともよくないのは、多重塗装の結果、コンクリートとの透湿性がなく、コンクリート中の水分を封じこめ
るので、夏季の連続的晴天時等に熱せられた水蒸気が逃げ場を失い、ブリスター現象を引き起こす。ここから剥れが生じる。
※この1例が「布施運動公園陸上競技場トラック」の実例である。
ここは、ゴム製舗装であるが、他の競技場で使用されているウレタン競技場でもこの問題は解決できていない。
例2:県道鳥取港線安長橋地覆(2003年10月)
大正橋P脚(2000年頃)
7.ウレタンの安全性に対する評価は「注意事項」に記載の通り引火性、有機溶剤中毒、健康に有害な物質を含む」
(日本ペイント「タフガード」カタログ)
- 5.パーミエイトによる表面被覆・塗装
①前編で述べたように、パーミエイトはコンクリート微細孔に根を張り、かつ伸び率が4%以上ある。また付着強度が強く、表面硬度が高い。
(コンクリートの熱膨張係数は10×10-6/℃)
②塗装材としての特徴は
ⅰ、付着力が大きい・・・・4~5N/mm2(エポキシ3N/mm2 )
ⅱ、紫外線劣化が小さい(『資料p14~16』) 結合主鎖がかい離し難い。
ⅲ、溶剤を含まない無機塗料なので、硬化時に微細孔を作らず緻密な塗膜を形成する
ⅳ、耐熱性・・・・約550℃、不燃性。
ⅴ、耐酸性・・・・PH1に耐えうる。
ⅵ、撥水性、・・・前述
ⅶ、色彩1280色可能
ⅷ、硬度N=7~11
③費用と施工方法
ⅰ、表面被覆材として、パーミエイトだけでも十分であるが、含浸性能 が高いため、空隙率の高いコンクリートに直接塗布すると表層の空隙に浸透し、塗膜を形成するためには最大で400g/
m2程度必要であり、高価であるので、下地処理としてポリマーセメントを使用する。
但し、必要最小量(180g/㎡)でも封孔効果は発揮するので、保護性能は満たす
ⅱ、地覆等は見栄えも大事なので、コンクリート表面に高分子ポリマーセメントを0.3~0.6mm程度塗布し、コンクリート表面の巣穴を、 押さえ平滑に仕上げる。
パーミエイトは、ポリマーセメントの微細孔に浸透し、一部は基材コンクリート中に浸透して、根を張る。
ここで使用するポリマーセメントはそれ自身が国土交通省のコン クリート補修工法・防食工法に認定されている『マグネライン』で ある。
(サンプル参照)
曲げ強度・・・・8.0N/mm2
付着強度・・・・1.5 N/mm2以上
引っ張り強度・・・3.0 N/mm2以上
ⅲ、このことにより、費用は多少高額となるが工程を短縮でき、また、塗り替えを必要としないのでトータルコストを大幅に削減できます。
※施工歩掛=別紙のとおり